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§3.5-1
セリカが運転するトラックキャビンの助手席には、ユカリが座っていた。
ユカリは、ウドーが無くなったと騒いでいる物がどんなものか、想像してみた。
「はいぎょく、胚玉?…って何だろうね」
「聞いた所、謎めいた力が秘められた石らしいね。
スプラウトすると、あ、つまり萌芽(ほうが)…卵なら孵化だよね、すると周りの生き物に色々恩恵があるんだって」
ユカリにはイメージが全然つかめない。
「卵なの?」
「さあ?見た目は…石かな。それでね、スプラウトした後は、普通の苗木になっちゃうんだって」
「えー!?なにそれ。やっぱり全然想像できないよ」
「でもね、神様とお話しできる装置だと思ってる宗教の人もいるの。だがら、とっても欲しがられてるらしいよ」
ユカリの頭の中で、卵はゆっくりと携帯端末に変わって行った。
「ふ~ん…オークションに出したら高~い値段で売れるのかな」
「でしょうね。でも、探すのは難しいのよね。昔、エイリアンの遺跡から幾つか見つかったとか何とか…」
「…セリカって、物知りなのね。凄いねー」
「えっ、そう?…いやぁ、そうかなあ…エヘヘ」
セリカはちょっと焦って、ペットボトルを口にくわえた。
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